すごい時代のすごい人たちの、すごい話。『ニッポンの編曲家 歌謡曲/ニューミュージック時代を支えたアレンジャーたち』を読みました。

すごい時代のすごい人たちの、すごい話。

『ニッポンの編曲家 歌謡曲/ニューミュージック時代を支えたアレンジャーたち』を読みました。

ニッポンの編曲家 歌謡曲/ニューミュージック時代を支えたアレンジャーたち
川瀬泰雄 吉田格 梶田昌史 田渕浩久
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ほぼ音楽ブログと化している当ブログですが、音楽書籍が本と音楽を繋げてくれています。
今回もまさにそんな一冊なのですが、はっきり言ってべらぼうに面白かったです。

実は今、自分はロックにハマってないんじゃないかと自分では思っています。
ただしそれは「今の」という枕詞がついたりします。そしてそれはさらに「日本の」という言葉が続く。
聴いている音楽はロックがメインなんだけど、それは60年代から90年代のロックで、その中の今も現役の人たちの新しいものはチェックしているような感じです。もちろん中には2000年代以降に現れた人たちもいるのだけれど、よくよく考えるとほんの僅かって言えます。だからむしろロックは希少種。

別にロックは死んだとか今のロックはツマラナイとか、そういう話をしたいのではなくて、自分の音楽の嗜好がそこにあるってだけの話です。
が、あんまり言いたくはないけれど、やはり今の音楽は魅力が乏しい(知らないだけかも)のと、自分の聴く力と聴く音楽の幅が変化したっていう両面があると感じてます。

うまく言えないのですが、
例えば(あくまで例えばで、特定の誰それではありません、念のため)、
20代そこそこの大して苦労も経験もない若者の苦悩とか、個人的な恋の話とか、やっぱりオッサンにはツライですもん。
いや、お前の恋の話とか日々の葛藤とか興味ねえし、みたいなね。
もちろん、それがあまりにも音楽的に凄いとか、普遍的な詞に昇華されてるとかなら聴きたいと思えますけど、往々にしてそんなことはないですし。
ただ、そういうのは若者のための音楽であり、常にいつの時代でもなくちゃいけないものだとも思ってます。
自分が若い時にはそういう音楽があったし、聴いていたし、今は今の音楽があるはずでし。
ただ、自分がその範疇にいないってだけで。
だからくだらないとかは思わない(ようにしてる)けど、自分が聴くべき(聴きたい)音楽ではないのは確かで。
(そんな中でももちろん撃ち抜かれるようにスゴいと思えるアーティストやバンドに出会えたりすると幸せなわけですが。)

うん、ただ自分がじじいになった、だけですわ。

じゃあ、今何を聴いてるか、そして興味があるかというと、それは「歌謡曲」です。
スタジオミュージシャンやアレンジャー、エンジニアなどどちらかというと裏方で音を作ってる人たちに興味を持っています。
そしてやはり生の楽器や演奏が好きなので、打ち込みが主流になる前の音楽を好んで聴くことになります。
そうするとこの人たちの主戦場はまさに歌謡曲になるんですよね。
そして、そんな中でも裏方の力が多いに発揮されるのがアイドルソングです。もともと音楽的素養のない(人が多い)アイドルたちを大人の知恵と工夫で売り物になる音に仕上げる、まさにプロフェッショナルの仕事。
この本を読んでさらに奥深くまで聴いてみたくなりました。

そしてカミングアウトしますと、最近のアイドル、乃木坂46にもハマってます。
もちろんとっかかりは彼女たちのビジュアルからなんですけど、気がつけばそれに付随していた音楽に興味を持ち始めたのです。
もともと歌謡曲も好きなタチなんですんなり聴けたんですけど、彼女たちの雰囲気にあった曲を選びながら進んでいることに感心したんですよね。
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で、上の文章と混ざり合うんですけど、まずは歌詞は全て秋元康氏なわけですが、
長年第一線で活躍してきた百戦錬磨のプロフェッショナルが書く詞は、全く個人的なものではなく誰にでも伝わる内容で書かれていますので、そもそも相当なおっさん(失礼!)が若い女性の視点で書き続けていることが相当ヤバいとも思いますが、そこがプロなわけですよね。
また、楽曲に関しても、演奏(もしくはプログラミング)も、数人の若者が集まってない知恵を絞るとかではなく、
大人が集まり本気で取り組んでいる(れっきとしたビジネスですから)わけですから、良いものが厳選され世に出るわけです。

つまり、完成したもの、出口にでてきたものは、多くのプロフェッショナルが関わり、大きなプロジェクトとして動いてきたものですから失敗してはいけないものなわけです。非常に厳選され磨かれたものではないと通用しないわけです。

ただそうすると冒険心のない、保守的なものになってしまいがちですが、そこに聴く側の思いが入り、その心配がなくなります。

アイドルを追いかけている人たちは、飽きっぽいのです。
その人たちを離さないためにいろいろ工夫をするわけですが(メンバーの入れ替えとか総選挙とかはわかりやすいですね)楽曲でもそれが行われるのです。言わば色んな種類の楽曲が提供されるのです。
その中にはド定番な感じのものもあれば攻めた感じの曲まであって、聴いていて飽きないのです。そもそも厳選された楽曲はクオリティが高いってのもあります。

そんな風にして今はアイドルソングに興味が向いています。現代のも面白いんですけど、90年代以前のほうがより芳醇な気がします。今はプログラミングやらなんやらでお手軽にできちゃうわけですは、当時はテクノロジーよりも「人」だったわけで、やはり自分はそこが楽しいし好きなわけで。
このようにして、自分の音楽趣味ともクロスオーバーしていくというわけです。

まてよ、自分の好きなアーティストもアイドルなんかに楽曲提供してるよな、しかも打ち込みじゃない時代は演奏にも関わってたりするよな。あれ、もしかして、昔の歌謡曲はもしかしてとんでもない宝箱なんじゃないのか?と。
そしてそれは間違いではありませんでした。

はい、すべてが合わさり、この本に着地します。
いやー、本筋登場までの最長記録ではないでしょうか、ここまでお読みくださった方ありがとうございます。

まさに歌謡曲が最も充実していた時代の、裏方たちの凄い仕事。
編曲家がメインなんだけど、そのアレンジを実際の音にした、ミュージシャン、エンジニアの方々の記録や貴重な証言、データが満載です。
「○○の曲で弾いてるのは俺なんだよね」的な話がバンバン出てきます。
また、当時のスタジオの様子や、その周辺の出来事なども多くの人から語られ、立体的に浮かび上がってきます。

登場する編曲家(アレンジャー)を少し挙げますと、
川口真、萩田光雄、星勝、瀬尾一三、船山基紀、大村雅朗、井上鑑・・・。

名前を聞いたことなくても、彼らが関わった楽曲を並べたら誰もが知ってる有名曲ばかりが並びます。
そして彼らに直接関わったミュージシャンや関係者、もしくは本人がそれぞれのエ思い出やピソードを語っています。

あんまり過去を美化するのは良しとしたくはないのだけど、日本の音楽環境に関してはどこをどうみても昔の方が良かったと思えてきます。
プロフェッショナルな人々が集まり、協力し、切磋琢磨し、情熱を傾けて作り上げていった音楽が、色褪せず魅力的なのは、もはや当たり前というか、そりゃそうだわと思える世界です。

今の音楽の無機質さは気になりますけど、いつかきっと反動で、生身の人間が作り出す音楽、本の中の音の作り方に回帰するんじゃないかという気もしています。どうかそうなった時にプロフェッショナルな人々がそこにいないなんてことにこの国がなりませんように。

当時を知る人も、今の音楽しか聴かない人にも読んで欲しい1冊です。きっと何か感じることがあるはずです。
データも充実していて、これから聴いていこうと思っている私みたいな人間には大変便利。
今も昔もそうなんですけど、歌謡曲とかアイドルソングって、録音に関わった人のクレジットが甘いのが残念に思っていて、それを補完するような役割も果たしてます。

あまり陽の当たらない「編曲家」の視点から語られた、日本の歌謡曲の歴史が覗けてしまう、画期的な本だと思います。
なにより面白い!
歌謡曲、アイドルソング、J-POPが好きで、その音作りに興味がある人には大切1冊になること間違いなしです。
自信を持ってオススメいたします!!

最後に。
私が好きなのはJ-POPではないんですよね。歌謡曲なんですよね、やっぱり。
なので本文ではあえて J-POPではなく「歌謡曲」という言葉を使わせていただきました。

手始めに大村雅朗さんを知ろうと思います。
さっそく「くま井 ゆう子」さんのアルバムを聴いてみました。大村雅朗氏のプロデュース及び全曲アレンジなんです。
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